山崎元さんの死去から考える”貯金を抱えて死ぬのは愚か”なのか?

資産形成
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背景

有名経済評論家の山崎元さんが先日死去となりました。

この方について私はそこまで詳しくはないのですが、よく金融業界のタブーに切り込んだ発信をされている方であることは存じていました。

特に他の評論家がオススメ投資信託として何か癒着があるからなのか手数料の高いアクティブファンドを挙げる中、

山崎氏は手数料が格安ですでに多くの投資家たちに支持されているeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)(以降、オルカン)一本のみを挙げていたことが印象的でした。

長期投資としてオルカンを推奨していた山崎氏。

自身も投資家として成功していたと考えられますが、65歳で死去

世間ではちょうど老後開始と言われる年齢であの世に旅立たれました。
心からお悔やみ申し上げます。

さて、話はタイトルに戻りまして、

おそらくそれなりの財を成していたと思われる山崎氏が老後に入ってすぐに死去したというニュースはある物議を持ちながら広く拡散されていきました。

その物議とは「貯金していたにもかかわらず老後入ってすぐに使わずに死ぬ」という「貯金もったいない」の意見が多く発信されたことです。

山崎氏が「老後のために」貯蓄していたかどうかは別として、多くの貯蓄を使わずしてこの世を立ったという事実を我々個人長期投資家に当てはめた場合に様々な意見が飛び交うこととなりました。

個人の長期投資家の目的は老後資金のためであることが多いと考えられます。

かくいう私もFIREを目指していますが、早期退職といっても結局のところ老後資金を貯めていることとあまり変わりません。

キンチラ
キンチラ

FIREとはFinancail Independence, Retire Earlyの略で、経済的自由を獲得して早期退職しようという概念のことだよ。
雑に言えば、早めに資産形成してしまって会社を辞めようってことね。

老後資金形成に早めに手を付けるというのは凄く堅実な行動と思います。

しかし反面、老後のために現役時代しかも20代,30代から貯蓄を行うというのは多かれ少なかれ年齢が若い内に使うお金をセーブするということになります。

加えて今はFIREムーブメントが巻き起った後ですから、昔より多くの方が従来の老後資金形成ペースよりもさらに多くの資金を投資に回している状況です。

FIRE自体もすごく賛否があるものでしたから、今回の山崎氏の死去によってその賛否がかなりクローズアップされた形となりました。

賛否はどちらかと言うと否の方、つまり「老後のために貯蓄したお金を抱えたまま死ぬなんて愚か」「しょーもない」という批判の方が多いものでした。

結局死ぬなら若いうちにお金を使ったほうが良かっただろうと、SNSにてこれ見よがしに主張してきたのです。

FIREを目指している身としては本当に愚かなのか?しょーもないのか?について反論したくなり、少し考えてみましたので共有したいと思います。

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貯金を抱えて死ぬのは愚かではない

貯蓄があるという安心感を得ているはず

お金は使って初めて価値を引き出すことができるとよく言われますが、私は少し違うと考えています。

それは生きている間は貯蓄があることで安心感という価値をもたらしてくれるからです。

分かり易いのは会社からの一方的なリストラ、または急な倒産ですかね。

サラリーマンであれば雇用保険から失業手当が一定期間支給され目の前の生活はある程度保障されはしますが、それでも収入が減ることになり失業前とまったく同じ暮らしをすることは出来ないでしょう。

個人事業主であればサラリーマン相当の失業手当はありませんので、経営が成り立たなくなれば貯蓄に手を出すことになります。

貯蓄が無い状態だとこの心配を持ちながら生き続けることになります。

それが嫌だから貯蓄をしておくというのは心の健康を保ち生きやすくするという観点で大きな役割を持っているはずです。

私の実例でお話しすると、

私はFIREを目指している関係上、平均の他の人に比べて収入に対する貯蓄割合が大きくなっています。

その分今の生活を犠牲にしているという指摘に反論はしませんし出来ませんが、

ただしFIREを目指すほどの貯蓄をしていることで様々な恩恵を得ていることを自覚しています。

  • 今後給料が上がらなくても問題ない
  • 多少の減給や賞与カットがあっても問題ない
  • 急にリストラにあっても生活レベルを落とす必要はない
  • 上記恩恵により、業務上でやりたくないことをやりたくないとしっかり主張できる。
    変なプライドを持たずに出来ないことは出来ないと伝えることができる。
  • 予期しない大きな出費に対する不安は一切ない
  • 他人の目を気にする無駄な残業をすることはなく、プライベートに時間を使えるようになる etc.

会社を辞めたい、働きたくない人間から出る恩恵は後ろ向きなものばかりですが(笑)、貯蓄が私の心の健康・余裕をもたらしてくれていることは事実です。

何かあっても何とかなると安心しながら平穏に生活を営むことができるというのはものすごく価値があったことではないでしょうか。

当然死ぬ前にすべて使えることに越したことはありませんが、生前に感じるこの価値があることを忘れてはいけません。

この一点を持ってしても、死後へ抱えたままの貯蓄に意味がない、貯蓄していることが愚か・しょーもないとは言えないと思います。

貯蓄は貯蓄を加速する

資本主義というのは残酷なもので、資産を持つ人はさらに資産を拡大していき、資産が少ない人は資産が減っていくという現実があります。

それは私のような一介のサラリーマンにも当てはまり、

資産の一部を株式や債券、不動産などへ投資することによって資産拡大が期待できます

投資の世界は割合の世界なので、同じ増加割合でも投じる資金が大きければ大きいほど絶対的な増え方は大きくなります。

私の実践中の投資はインデックス投資ですが、長期の年平均利回りは3~7%と言われます。

仮に5%だとしても、投資資金が10万円と1000万円では平均年間利益はそれぞれ5000円と50万円と49万5000円の差が生まれます。

さらにその5000円と50万円を再投資して5%増えた場合の利益はそれぞれ5250円と52万5000円とその差は51万4750円と49万5000円の差から拡大してしまいます。

そしてさらに再投資、また再投資と繰り返すと利益の差は指数関数的にものすごく拡大していくことになります。

投資家はそれを分かっているから、できるだけ投資資金を大きくしようとするのです。

キンチラ
キンチラ

※投資にはリスクがつきものですが、インデックス投資という概念は長期で3%~7%の年利回りを実現する可能性が高い方法です。

インデックス投資の平均利回りは単年や数年スパンでは安定しないため、10年、20年スパンの長期投資を行うことが前提となります。

そのため老後資金形成を目的とするならできるだけ年齢が低い内から投資を行うことが望ましいのです。

そしてできれば多くの資金を投資に回すことで効率は上がっていくのです。

年齢が低い内に多くを投資に回すというのは個人投資家が資本主義における資産増加効率を上げるためには非常に大きなファクターを持つことになるのです。

貯蓄することは貯蓄を加速します。

お金は消費に使うことだけで価値を生み出すわけではありません。
富拡大のための種銭としての価値をもうすでにもたらしてくれているわけです。

資本主義社会で生きていく以上、資産を持つものが資産を拡大してくという構造に乗っからないことの方こそ愚かであると言われても仕方がないことかもしれません。

さらに言えば投資で増やしていくことを除いても貯蓄があることは貯蓄しやすくなるという現象もあったります。

それは十分な貯蓄があれば掛け金を支払って保険に加入する必要はなくなるといったことが代表例になります。

そもそも結果論でその人の生き方である

山崎氏の死去によって今まで老後のために貯蓄を行うことに対して批判する意見を持っていた方たちが

「ほれ見たことか」

と水を得た魚のように意見をさらしていくという構図になっているのですが、もそも亡くなってしまうことは結果論です。

山崎氏がどう考えて資産を保有していたかは分かりませんが、少なくとも老後資金を貯めようと行動をしている人は老後前に死ぬことを想定しているわけではありません。

老後前に死ぬかどうかなんて考えてもしょうがないことです。

「いつ死ぬか分からないのだから今お金を使うべきだ」

という意見もあるでしょうがそれはその人の生き方だというだけで、老後のために貯蓄をしようと思う人の生き方を否定できるものではありません。

逆に貯蓄は貯蓄を加速する項で述べた資本主義構造である以上、批判する方は資産拡大を少なからず犠牲にしているとも言えます。

老後前に死んで、結果的に老後前にお金を使い込んだことが良かったことになるかもしれません。

そもそもどちらが良いかということではありません。

その人の生き方であるのだから、意見はあれど双方否定できるものでないということです。

FIREを目指している私の立場からすると、

年金の減額や支給時期の後ろ倒し、重なる増税、超少子高齢化による現役世代の社会保障費負担増額と貯蓄に対するネガティブ要素満載の日本で暮らしていく以上、

老後のために貯蓄をするというのはしっかり現実を見た素晴らしく堅実な行動と思います。

とはいえ極端な考え方で老後のための貯蓄をせず最終的には生活保護に加入すればよいという人生設計も、その人の生き方なので否定はしません。

私は生活保護、またはそれに相当する経済的に非豊かな人生を送りたくはない、むしろ豊かな老後を迎えたい、できればもっと貯蓄を前倒しして早期退職したいと考えてそのように生きているだけです。

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0か1かではない、バランスだ

こういう話題が出るとどうしても貯蓄を一切しない or 貯蓄や投資にフルベットという01かの意見が飛び交ってしまうのですが、

当然ながら今にお金を使うことと老後に貯蓄をすることは両立できるのです。

そこにその人の人生観が入ってくるので、要はバランスだということです。

私はFIREを目指せるくらいの貯蓄割合と資産を形成しているのですが、何も今生きている時間に全くお金を使っていないわけではありません。

新幹線を使って旅行に行ったりしますし、趣味のキャンプやその道具を買ったりしていますし、Youtubeにキャンプ動画を投稿するための機材も買ったりします。

結婚記念日やお互いの誕生日にはいつもより高価な外食に行ったりもします。
友人と突発的に飲みに行ったりもします。

キンチラ
キンチラ

このブログを皆様に快適にお届けするための高速なサーバー代やドメイン代も払っています。

以上のような今の人生のために、どのくらいのお金を振り分けるか?ということを考えて生活しています。

如何に必要十分なお金だけで彩のある生活、または十分な資産形成ができるか?

それをしっかり考え判断した結果は、愚かなんてはずがありません。

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