【資産運用】リスクを年齢や資産の大きさで本当に変えられるのか?

資産形成

資産運用におけるリスクの度合いを決める要素として年齢や資産の大きさがよく挙げられます。

これらを説明しているインフルエンサーや記事などを見ても非常に納得性の高い内容となっているのですが、わたしは幻想を抱いているように感じます

その理由を今回はお話ししたいと思います。

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資産運用におけるリスクとは値動きのこと

資産運用におけるリスクとは時価の値動きの振れ幅のことになります。

そしてその振れ幅は保有している資産の割合で変わってきます
資産運用の方法として手堅いインデックス投資は年平均リターン3~7%と言われていますがそれはあくまで平均であり、

実際はこの数値よりもプラスにもマイナスに振れながら長期的にはプラスで推移していくことを期待することになります。

資産割合には依りますが一年で持っている資産が+50%になったりすれば逆に-50%まで減ってしまうこともあります。

例えば100万円を投資していたとすると+50%になれば150万円になって万々歳ですが、逆に-50%になれば増やそうとしていたはずの資産が半分の50万円に減ってしまいます。

50万円って大金ですよね。高級家電が何台か買える金額です。

キンチラ
キンチラ

どれだけ生活が豊かになることか。それを一瞬で失う(時価で)可能性が十分にある

このように実際に大金が増えたり減ったりすることがリスクというものです。

資産運用する人それぞれで取れるリスクの度合いが異なりリスク許容度なんて言われています。

もちろんこの増減は時価であるのでそのあとの値動きによっては増えた分が25%,10%,5%,2%などに落ち着いたり、減った分は売らずに商品を持ち続ければ数年後に回復していることもあります。

しかしその回復までの期間は数か月か、数年か、10年かになるかは予測できません。
10年間値下がりし続ける未来もあるわけです。

100万円が一年で50万円になったとしてこれ以上40万円、20万円と損をしないようにと50万円のうちに売ってしまおうと考える人もいるでしょう。

キンチラ
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こういうのを損切りという

インデックス投資というのは短期的には増減が大きけれど長期的には右肩上がりであることを信じる投資手法なのですが、一方で人間の気持ちがついていけないことがあります。

資産が半減したとしたら気が気ではないでしょう?
値動きが気になりすぎて日常生活に支障が出かねません

このようなことがないようにリスク許容度をしっかり策定・管理することが非常に大事になってきます。

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リスク許容度の決め方(俗論)

このリスク許容度を決めるための指針として下記のようなことをよく言われます。

株式の割合は(100-年齢)%

資産運用に代表される資産レベルとして株式と債券を例に挙げます。

一般的に株式は債券よりもハイリスク・ハイリターンな資産であり、
債券は株式よりもローリスク・ローリターンと言われています。

値動きを無視すれば長期的に保有を続けることで株式は債券よりも高いリターンを見込むことができます。

一方債券はリターンが比較的少ないですがリスクも小さいため株式に加えて資産ポートフォリオに含めると全体的な資産の値動きをマイルドにすることが見込めます。

株式と債券の割合を調整するとリスクも調整できるということですね。

この株式の割合を年齢によって決めようということですが、
その理由としては値下がりから回復まで待てる猶予期間が異なるためです。

例えば10年間値下がりから回復しないということは過去にあったのですが、
20代、30代、40代という年齢であれば回復まで待つことが可能でしょう。

なぜならこの年代の人たちは資産運用のほかに収入があることが見込まれるため、生活資金とは切り離された余剰資金での運用を心がけていれば10年後の回復まで資産を売らずに待つことが可能だからです。

しかしながら50代以上になるとサラリーマンであれば定年を迎え定期的な収入を年金に頼る必要が出てきます。

年金のみで生活ができない、または現役時代ど同等な豊かな暮らしをしようとすると貯蓄に手を付けることになります。

そうなったときに運悪く資産が大幅に減ってしまっていては売りたくないのに売らなくてはいけない状況となり、資産運用の成果が縮小、それどころか減った状態で投資を終える可能性さえあります。

このような時価回復までの期間を確保できない人はリスク許容度が低いことになります。

資産額が〇〇〇〇万円くらいになったら

資産運用は常に割合で効いてきます。

リスクももちろん割合で考えます。

インデックス投資ならそのインデックス(指数)の値動きの割合がそのまま保有資産の値動きの割合となるので、

例えばあるインデックスに連動する商品で保有資産が100%であったとしたら、そのインデックスが50%減ったら保有資産も50%減ることになります。

保有資産額が何円であってもです。

キンチラ
キンチラ

千円でも、10万円でも、1000万円でも、1兆円でも50%減ります。

ここで運用額が100万円と5000万円(私の目標金額まであと1000万円)でまったく同じ商品を保有している人それぞれAさんBさんがいたとしましょう。

Aさんが100万円の方、Bさんが5000万円の人です。
そして運悪く保有中にマイナス50%の暴落を食らったとします。

Aさんは50万円の下落で済みますが、Bさんは2500万円の下落を受けてしまいます。
同じ50%の下落ですが金額にするとBさんはAさんに比べ2450万円多い下落を受けることになります。

Bさんを私だとすると、せっかく頑張って目標金額の6000万円まであと1000万円のところまで来たのに暴落を受けてもしかすると今後10年間以上目標金額どころか5000万円に回復もしないかもしれない・・・

ということになってしまいます。

一方Aさんは50万円の下落なので、運用により資産額を回復させるよりも今後数か月か1年間節約を頑張れば総資産という観点では回復することが可能です。

Bさん普段の生活を見直しても厳しいですよね。

このように資産額が大きくなると下落割合(マイナスの方のリスク)に対して受けるダメージが大きくなるため、ある程度大きな資産となったらリスクを下げておき資産を守るということが大事になります。

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リスクを徐々に変化させるいう幻想

さて、いつの間にか他インフルエンサーやブロガーと同じような論旨で書いていましたが、
私は上記で述べたようなリスクの決め方は幻想であると考えています。

そもそも年齢でリスク許容度は決まらない

年齢で計算して株式の割合を決めようなんてものはすべての人に当てはまるものではありません

20歳の人全員が株式を80%にしてもよいのでしょうか?
80%なら暴落でマイナス50%は十分あり得る割合です。

答えはNoです。

投資に消極的な人、これから投資を始めようとする人であれば株式80%はリスクを取りすぎな可能性が大きくあります。怖いなら半々の50%からスタートしてもよいです。

40歳なら60%でいいのでしょうか?これも答えはNoです。

定年まで20年はあるためリスクに耐えられる人は100%でよいと考える人もいるでしょうし、
逆に怖いので30%に下げる人だっているでしょう。

つまり(100-年齢)%というのは何の根拠もなく、目安にすらならない指標なのです。

そして20歳から40歳になったとしても下落が怖いならずっと低めの株式割合でもいいし、
逆に余裕なら100%で20年間を過ごしてもよいわけです。

老後を迎えた60歳だとしても、健康寿命の70歳あたりまでは元気で投資を続けられる可能性は十分あります。10年間は長期投資にとっては勝率が高い方です。

リスクに耐えられる方なら株式100%でも問題はないでしょう。

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真に怖いのは「使いたいときに下落している」こと

(100-年齢)%という計算でリスクを決めることが問題だということであり、何も年齢でリスクを考えることはまったく見当違いというわけではありません。

さすがに70歳という人生残り少ない年代になってくると株式100%では暴落した時に取り返すための時間的猶予がありません。

次の世代にすべて託すという人は別として、ほとんどの人が将来使うために投資をして増やしているわけですからリスクを極力下げておくことが常套手段です。

しかし勘違いしてはいけないのは年齢が上がったからリスクを下げるわけではなく

使うときが近いからリスクを下げるというのが正しい認識です。

キンチラ
キンチラ

使うときが来た、それだけの話。

何も投資の目的は老後資金だけではありません。

子供の大学資金のため、車の買い替えのため、一軒家を買うため・・・
投資とは人生の中間中間で発生する大きな出費に備えるためにもすごく有効な手段です。

子供の大学費用に用意していた投資資金が直前数か月で暴落し50%の下落を受けてしまったらもう工面できません。

40歳で一軒家が欲しいと30歳に始めた投資も、10年目ちょうどに暴落に遭えばもしかすると実現にはさらに10年かかってしまう恐れがあります。

このように使いたいときに大幅に下落していると人生計画が崩れかねないのです。

暴落というのはいつ起きるか予測できないため必要な資金はリスクの高い投資をしていると危険であり、リスクを下げていくかなんなら投資から引き揚げておくことが必要です。

このリスクを下げていこうとする行動のトリガーは年齢ではなく使う時期だということを意識することが大事です。

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別に余剰資金ならいくらでも関係ない

投資は余剰資金で行っていればたとえ0円になっても今の生活には支障が出ません。

個別株ではなくインデックス投資をしていれば価値が0円となることはほぼないので、回復するまでの時間的余裕(年齢とは言わない)があればよいだけのことです。

生活防衛資金の確保、月々の収支の最適化、数年先に使う現金の確保をしっかりしていれば、日々生きていくための投資資金に手を付けなくてもよいのです。

であれば使わない余剰資金はどんどん投資に回し、富むものがさらに富むという資本主義の恩恵に大きく授かるのは合理的判断です。

キンチラ
キンチラ

機会損失があるのはもったいない

しっかり家計と整えていれば余剰資金は増えていき、数千万円もの大金を築き上げることは可能です。

もはや余剰資金の割合の方が大きくなることだってざらです。
現金が数百万でも投資資金が数千万という割合は何ら異常ないとさえ思えます。

投資資金が1000万円を超えたら、3000万円を超えたら、1億円を超えたら・・・・という指標はあまり意味がない、

むしろ前項のように「使いたいときに確保する」ということに意識を向ける方が資産を膨らます機会を逃さず、かつ必要な時に必要な資金を用意することができるのではと考えます。

1億円に育てば守りに入りたくなるかもしれませんが、

合理的に資産を膨らますという観点ではそれが余剰資金でしばらく使い道のない資金でないかつ暴落しても回復する期間が確保できるのであれば、投資しておくことは一つの取りえる判断かと思います。

もちろん1億円でもう十分と判断すれば余剰資金であっても投資を終えて今の生活の彩のために使い始めてもよいと思います。

何を言いたいかというと資産の大小でリスクをどうするかなんてものは、人それぞれで使いたいタイミングが異なるため一概にこの金額で、という指標はないということです。

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人間は合理的な行動が常にできるとは限らない

実は幻想と表現したのは主にこの理由です。

そもそも人間はここまできたらリスクを下げよう、なんて合理的な判断ができない可能性が大いにあります。

例えば40歳から60歳まで株式100%で20年間投資を継続し、元本から4倍に増やせた人がいたとしましょう。

キンチラ
キンチラ

大成功です!!おめでとうございます!!きっと自分の投資手法に自信が持てることでしょう。

しかしそんなリスクを恐れず投資を続けることができ資産を大きく増やせた体験をした人が、

さてこれからは老後だしリスクを落として株式を30%にするか~
という判断をすることができるでしょうか?

今まで成功してきた投資手法からガラッと方向転換をすることができるでしょうか?

実際にできる人も、やると決めている人もいるでしょう。

でももっと増やせるなら増やそうかな・・・と欲張りが出る人も一定数いるのでは?

そして今現役世代の方もその当時になったら考えが変わってしまわない自信が確固としてありますか?

人間には現状維持バイアスというものがかかります。

今までうまくいったのだからこれからも大丈夫だろう。
なんだかんだ何も変わらないだろう。
まぁ今後数年で暴落は起こらないだろう。

人間変化を恐れるものです。

何も変化を躊躇するのは下落の意識だけではありません。

もし株式比率を落とした後に上昇したら・・・?
変えた後に逆方向に言ったら自分の判断が間違いだったということになっちゃう!!

という損失回避の意識からも現状維持を選択しがちです。

今は若いから株式100%でよくて、年齢や資産の大きさがこの水準に達したらリスクを下げればよいよね。

というのは経済的合理性はありますが、当の本人の気持ちが合理的に判断し行動できる保証はどこにもないのです。

安易に若いから株式100%でよい、というのは実は将来必要な資金を準備できないと恐れが潜んだ行動であるということです。

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リスクはどう決めればよいのか?

ここまで巷で言われるリスクの決め方とそれに対する反論を話してきましたが、では私がリスクの決め方でよいと思うのは何かというと、

  • 必要な金額を必要な時期に工面できる必要十分なリターンに見合ったリスクにする
  • 用途を明確にする

一つ目は例えば株式100%のアセアロなら年利回り7%を狙えますが、必要な時期に必要な資金を年利回り5%で工面できるなら債券を取り込んだアセアロで十分ではないかといったような考え方です。

キンチラ
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リスクを取りすぎて途中で投資を辞めてしまうということは
何としてでも回避しなければならないからね。

そしてリスクはリターンを下げたよりももっと大きく下げることができます。要はリスクに対するリターンのコスパがいいといった感じでしょうか。詳細は以下から

二つ目は用途が明確ではないともっと増やそうと欲が出る可能性を上げてしまうからです。
とりあえず増やせるなら増やそう、とか思ってしまうようにですね。

例えば子供の大学資金と決まっていれば目標金額が決まるのですから、市場動向によっては予定時期の数年前に達成することがあった場合、これ以上リスクを負う必要がないとしてその時点で現金化するという判断ができます。

使用時期までの数年間のインフレを気にしても別収入から工面できるレベルでしょう。

老後資金と決めていればもっと長くしばらくは手を付けることがない資金でしょうから、大学資金よりももう少しリスクを増やす判断もできるかもしれません。

私はFIREするための目標金額と出来たらよいという時期を設定し、そのための利回りはどれくらいがあればよいかを計算して今のアセアロに落ち着いています。

さすがにもっと早くFIREしたいと思えばもうちょっとリスクを取ったかもしれません。

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投資を続けられることが大前提

今まで話してきたことは投資を続けられることを前提としています。

この時期にこれだけ用意するためには利回りが5%必要だ・・・でもそれでもこのリスクは怖いな。

と思えばその投資はするべきではありません。
少なくとも小さい金額から初めて、かつ放置せずに初めのうちは常に値動きになれるかなれないかの見極めをした方がよいかと思います。

利回りを5%から3%に落としても、続けていれば十分な人生の支えとなる資金を築くことは可能です。

今はもっとリスクを取れるけど将来アセアロを組み替える度量がないかもしれないからあえてこの利回りで抑えておいてずっとこのままで行こう、という考えでも大いにありです。

とにかく無理に続けて、耐えられずに損切り!ということは何としても避けなければなりません。
人生の支えになるどころかマイナスで終了です。

値動きに感じるところはどこまで行っても人それぞれであり、一概に「こう決まる」というものはないのです。

キンチラ
キンチラ

自分が投資を続けられること。それを第一に考えよう