投資と聞くと何やらいろいろ計算し、
こうなったらこう、ああなったらああだと
常に色々考えてやっているというイメージを持たれる人も多いでしょう。
しかしながらこと長期投資においてはそういう理屈のみで行っているとうまくいきません。
むしろ感情勝負であると言えます。
長期投資で一番大事なこと
長期投資はその名の通り長期で投資をするものです。
長期だということが前提にあることで個人投資家にとって非常に簡単な手法を採用することができます。
- インデックス投資信託が使える
- 含み損が出ていても持ち続けられる
- ほったらかしでよい
しかしながらそれが成り立つのは最低でも15年(諸説あるが)は買った商品を売らずに持ち続けることが条件となります。
なぜなら長期投資は利益が上がるまでの過程では投資商品の値動きリスクにより短期的には価格の上下を繰り返しており、それを最後に引いてみると右肩上がりだ、という理屈だからです。
その右肩上がりが見れるようになる期間は先ほど述べた15年程度あればほぼ間違いないと言われています。
逆を言うとそれ以下だと失敗する、つまり元本より値下がりした状態で終わる可能性が高くなるということです。
つまり長期投資の成功にはその持ち続けるだけという簡単さと裏腹に10年以上と長期的に継続することが一番大事になります。
また積み立て投資なら積み立ても長期で続けることが必要です。
継続できなければ、いくら期待リターンが高い商品を買っていても失敗で終わる可能性が大いにあります。
理屈はわかっていても難しい
わかりました、何があっても辞めなければいいんですね。
売らずに買い続ければいいだけの簡単なことだ。
確かに買い続けるには各証券会社の定期購入サービスを利用すれば自動的に積み立てを行えるので一回設定してしまえば簡単です。
しかし「売らずに買い続ければいい」と簡単に言うほど単純ではないのです。
長期投資の理屈は長期的に右肩上がりが見込める投資商品(主にインデックス投資信託)を持ち続ければ紆余曲折はあれど利益が上がるというものですが、これを行うのは非常に難しい。
理由は味方のように思えた「長期」が曲者だからです。
最低条件の15年(諸説ありますが!)間の間に色々なことが起こります。
市場の変化は15年もあれば上にも下にも目まぐるしく変わりますし、
今から15年も歳を取ればライフスタイルや投資に対する重きの置き方も変わる可能性が高いです。
長期ということを軽く見すぎていると目標を達成する前に投資から脱落しかねません。
特に人生の残り時間が豊富にある世代は20年30年と今の投資を続けられるという思い込みがある可能性が高いです。
でもよく考えてみると途中で使うという可能性を全く考えていないということになるのです。
長期投資を阻む感情
長期投資を続けていくためにはそれを阻む可能性のある感情に何があるかを知っていて損はないでしょう。
知っていれば事前に対策ができますし、いざその時になっても冷静に対処ができます。
予想以上の値動きにハラハラ
値動きの乱高下というのは数年に渡り続く可能性があり、リスクの許容度を超えた投資をしているとその間あなたの頭の中を投資が占領する割合が多い状態が続きます。
毎日更新される投資信託の基準価格を確認し、夜か次の朝くらいに更新される自分の資産残高の乱高下に翻弄され続けます。
下落相場であればドンドン減っていきますので気が気ではないでしょう。
しっかりリスクがどれくらいあるかを把握したうえで投資しているよ!
という方でも予想以上の値動きにハラハラすることはあり得ます。
投資の世界は割合で考えるのが主です。
投資を始めて初めのうちは投資している額が小さいため、1日にマイナス3%でもそこまでダメージは大きくありません。
※マイナス3%というのは例えば株式のみに投資していると日常的に十分あり得ます
例えば投資額が100万円だとマイナス3%でも3万円の下落で済みます。
※それでもハラハラしてしまう人はいるかと思いますがそんな人はもっと分散投資を心がけることを強く推奨します。
ただしこれが積み立て投資をそこそこ長く続けて資産残高が5000万円になったらどうでしょう。
マイナス3%で一日150万円の下落を日常的に経験することになります。
下落相場だとマイナス3%→プラス2%→マイナス2%→プラス1%→マイナス3%・・・のように上下はありますが徐々に減っていくことを経験することになります。
そしてその状態がいつまで続くかは分からないのです。
気づいてみればあのころからマイナス50%になっていた、ということもあり得ます。
※耐えられない方はそうなる前に脱落している可能性もありますが。
そうなることは過去のデータから予想はしていて、
「この時は何年で回復したな、これくらい待てばいいんだな」
と考えて投資を始めたものと思いますが、いざ自分がその状態になると
「今回もあの頃と同じとは限らないよな・・・」
「今損切りしておけばまだ軽傷で済むよな・・・?」
「今は撤退して上昇相場になってから参加すれば一番良いのでは!?」
と投資を始めたころでは想定していなかった考えを持つようになります。
※特に3番目の考えはそううまくいかないのが投資の常だったりします。
それに加え当時の自分とはライフスタイルが変わり、
「子供の教育資金に当てにしていたのに損している状態ではやめられない・・・」
「持ち家を買って頭金で現金が少なくなった上にこの仕打ち・・・」
と感情を揺さぶられる要素が増えている可能性もあります。
しかし思ったところで市場は待ってくれません。
これ以上ダメージを受ける前に投資から身を引いた方が・・・でも続けなきゃいけないんだよな・・・
と考えている間にあれよあれよと下落していきます。
その投資の支配力に「もう投資なんてたくさんだ!!」と投げ売りして脱落、なんてこともあり得ます。
全然利益が上がらずイライラ
投資の相場には行ったり来たりの相場、いわゆるボックス相場というものも存在ます。
それは数年間続く可能性もあります。
「損はしていないんだけと当初想定していた年利回りで増えていかない・・・」
「増やすためにリスクをとって投資をしているのに全く増えない!!」
と自分の行っている投資に疑問を抱くようになったりします。
かたや投資界隈の情報を見てみると同じ相場にいるにもかかわらず他の投資手法で利益を拡大している人を見かけたりします。
そうなると一層自分の投資手法に疑念が沸いてしまうことでしょう。
あなたが長期インデックス投資を実施しているなら、そういうなかなか増えない時期を数年間経験することは覚悟しなければなりません。
浮き沈みがあり、時には暴落し、時にはこのような停滞期を乗り越えた先に上昇相場での利益拡大にありつけるのです。
なんで増えない投資を私はしてるんだろ?
投資しているのに増ない、という相反した現象に疑念を抱くことなく上昇相場まで耐えることが必要です。
とはいえその相場が終わるのが何年後、何十年後になるかわかりませんが・・・
それどころかボックス相場が終わった先は下落相場という可能性もあるのですが・・・
もっと利益を上げようと欲張り
インデックス投資は年利回り3%~7%を狙う投資手法です。
それで十分だと思われてインデックス投資を選択しているものと思いますが、
どれくらい増えていくのか理解されずに始めた方はそもそも危険です。
前項までで述べたように数年間投資を続けているのに想定した利回りに到底達していない状態があり得ます。
そうすると人によっては物足りないと思うかもしれません。
利回りを増やすにはインデックス投資の範疇でいうともっとリスクをとった期待利回りの高い株式のような資産レベルの割合を増やすことになります。
つまり投資を始めた当初に設定したであろう自分に合ったリスク度合いを超えた投資をすることになります。
ここまで読んでいただけた方にはこれがいかに危険なことかを理解していただけるでしょう。
またインデックス投資で得られる利回りに満足できず数十%のリターンを得られる個別株投資などに手を出す人も現れることでしょう。
個別株投資というのはインデックス投資とは違い、その株の価値が0になる可能性があることに加え分散投資をするには非常に大きな資金が必要となります。
インデックス投資を個別株で再現するには一回のサラリーマンでは考えられないような莫大な資金が必要。
分散が効きにくい、0になる可能性がある、というのがリスクを飛躍的に増大させる要因になります。
さらに個別株投資は買い時、売り時をより見極める必要がありさらに投資という存在が自分の頭を占める割合を増長させることになります。
そういった欲張りな感情がインデックス長期投資を続けることの弊害となりえます。
長期投資は何よりも続けることを第一に考えよう
今回は長期投資を阻む感情を3つほど挙げさせていただきました。
今は設定したリスクで何となく大丈夫だと思っていても、将来起こる様々な事情でそれが崩れる可能性があります。
しかしそうなる前に対策は可能です。
欲しいリターン以上を得るために必要以上のリスクを取らない、投資する金額を小さくしておく等。
こういう状態になったらこういう感情に陥るかもしれないということを事前に知っておくことでいざとなったときに冷静に対処できる、ということの気づきにこの記事が役立てば幸いです。
本ブログでは何度も言っているのですが長期投資は続けることが何より大事です。
例えば「自分は若いからリスクを大きくとっても大丈夫」と何となくの理由で芳しくない相場を迎える前に、そのための対策を考えておくことも大事です。
考えた末にリスクを据え置きと判断したとしてもそれはそれで良いのです。
いざとなったときにでも「あの時しっかり考えてこうしたんだ」と自分の判断に自信を持てるからです。
それも長期投資を続けるための良い要素となっているからです。