2024年2月29日、大人気投資信託オルカンことeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)に採用されているインデックス、
「オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」
の構成銘柄の入れ替えが発表されました。
オルカンから外れる101銘柄のうち半数以上の66銘柄は中国株。代わりに入ってくるのがインドの銘柄です。
引用記事:大人気投信にも影響 “オルカン”が銘柄入れ替え 中国除外しインド採用(Yahoo!ニュース)
中国不動産バブルが崩壊し市場は大混乱。
その影響があってか中国への投資資産が日本へ流れてきたことで日経平均株価が最高値を更新したという見解があるようです。

逆にインドは人口増、経済も大きく育っている。
今回のようにオルカンは国の経済規模の変化に追従してインデックスの構成銘柄を変える動きを見せます。
オルカンの購入者である我々投資家にとっては自動的に経済規模に追従してくれるため、やはりオルカン一本を買っていれば良いという考えが支持されるのもうなずけます。
オルカン一本が必ずしも良いかというのは置いておいて・・・
オルカン購入者は投資に自信を持てたよい機会だったのではないでしょうか。
さて今回は、オルカンは入れ替え後でもインド株の割合は1.8%程度ですが、
ちょっと違う観点で一方で新興国株式だけに投資を行うインデックスはどうなのかを確認していこうと思います。
新興国株式インデックスも既に入れ替えを進めている


新興国株式に投資する投資信託やETFを単体で購入していたりバランス型で保有している方も多いと思います。


オルカンは入れ替えているけど俺の新興国株式はないの?ちょっと心配・・・
やっぱりオルカンがいいのかな・・・
と逆に心配になった人もいるのではないでしょうか?
私のメイン投資先であるeMAXIS Slim バランス(8資産均等型)にも新興国株式が12.5%含まれています。
インデックスは「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」です。
記事執筆時点でオルカン入れ替えに併せた構成銘柄の入れ替えは発表されていませんが・・・
実はすでに入れ替えは進んでいます。
同インデックスを採用しているeMAXIS Slim 新興国株式インデックスの交付目論見書を2020年、2023年で見比べてみると分かります。




画像引用:三菱UFJアセットマネジメント eMAXIS Slim 新興国株式インデックス 交付目論見書
中国とインドだけに着目すると、
2020年→2023年
中国:41.9%→30.0% (-11.9%)
インド:8.2%→15.7% (+7.5%)
中国の割合のほとんどがインドに移動していることが分かります。
そのほか台湾の割合も増えたり、ロシアやアルゼンチンが除外されています。
ロシアは対外債務のデフォルト騒ぎがあり新興国債券インデックスからの除外もありましたね。
このようにオルカンだけではなく、新興国株式投信も経済規模に併せたインデックスの構成の入れ替えによって比率が自動的に調整されていきます。


3年でこれだけ変わるのですね。
ちなみに2019年はこんな感じでした。


中国は2023年と+3%しか変わらないので、2019年から2020年にかけて中国経済は拡大していったことがうかがえます。
また着目すべきはインドの割合です。
2019年→2023年
中国:33.3%→30.0% (-3.3%)
インド:9.2%→15.7% (+6.5%)
中国の比率がそこまで変わらないのに対して、インドの勢力は拡大していることがうかがえます。
いずれにせよその時その時の経済規模に応じて新興国株式インデックスも頻繁に入れ替えが発生するということですね。
投資成績が良くなるかは別問題


しかしながら経済規模に応じて追従するということが投資成績を良くするとは限りません。
経済規模に追従するということは順張り的な投資行動となります。
伸びているものに対してさらに資金を多く投入するという行動になりますから、言い方を変えると高くなっているものを買う行動になります。
もちろんこの先のさらなる経済成長を見込んで多く買うのですから判断としては間違いではないかもしれません。
しかし投資は安く買って高く売るという大原則があるのも事実。
今は下がっているが今後上がる時が来る、と判断する逆張り的行動を取れれば実際に上がった時には順張りよりも資産の拡大幅は大きくなる可能性があります。
どちらがいいという訳ではありません。
今後も上がると思っていたら肩透かしに合うかもしれませんし(高く買ってしまった分損が出る)、
下がっているものを買っても全然上がる気配がない、むしろまだ下がるかもしれません。


あくまでどうなるかは分からない
今回触れたのはオルカンの新興国株式部分のみに着目しましたが、
今後新興国が隆起し新興国株式と先進国株式比率自体が大きく調整される可能性もあります。(順張り)
対して新興国と先進国を一定割合で投資し続ける方法もあります。(逆張り)
後者はリバランスも駆使すればさらに逆張り行動を取れることになりますね。


ちなみに私の投資している8資産均等型は新興国株式12.5%にインドが15.7%なので、全体に占める割合は1.96%になります。
入れ替え後のオルカン内インド割合1.8%より多い割合を投資することになります。
どちらがより大きなリターンを得られるかはわかりませんが、大事なのは自分の納得できる方法で投資を続けていくことです。
とりあえず我々が保有している新興国株式投信も世界経済に追従していくことを確認できたことに安心したところで、粛々と投資を長く続けていきましょう。
余談・・・
今気づいたのですが投資信託内部では順張りで新興国と先進国の割合を一定にするのは逆張りなので、順張りと逆張りの合わせ技になるのですね。
投資理論的にどうなのかは難しそうで分かりませんが、まぁ世界経済の恩恵をもらうという大前提の方向は間違っていないので大丈夫でしょう。