積立投資は集中投資でよい?分散投資の有効性とは(過去数値付き)

資産形成

積立投資を始めたいけど何を買ったらわからない。 

みんな米国株式だけで運用しているけど分散は必要ないのかな?

投資初心者の方は投資商品を選ぶ際に集中投資か分散投資かで悩むことも多いと思われます。

分散投資をすると集中投資したよりもリスクも減ってリターンも減る、という感覚は持っているかと思いますが、

じゃあどれくらいの差があるかは明確な数値を持っていない方がほとんどじゃないでしょうか。

実はリターンを減らした分と同じだけリスクが減るかというと、そうではないのです。

そこに分散投資の妙味があります。

この記事では集中した場合と分散した場合のリスク&リターンを数値を用いて比べたうえ、分散投資の有効性を考えます。

キンチラ
キンチラ

どんな威力があるんだろう。

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リスクとリターンを考えることはなぜ大事か

まずリスクとリターンとは何かというと、

リターンはわかりやすく自分がリスクを負って得られた利益のことです。

一方リスクは投資の世界ではもっぱら値動きの幅のことを指します。

勘違いされがちですが、元本割れリスクのことではありません。

もちろんリターンは多ければ多い方が、リスクは少なければ少ない方がよいです。

ただしリスクとリターンはトレードオフ(こちらが立てばあちらが立たず)があり、例えばリターンを追い求めるとリスクが増大します。

リスクの何が怖いかというと、一番は値動きの幅が大きすぎて投資を続けることができなくなることです。

例えばリーマンショック時には株式は-50%以上の下落を経験しました。

資産の半分が減るということです。

そして株価の回復に約5年もかかったと言われています(米国株式)。

中には5年以上回復しなかった資産クラスもありました。

キンチラ
キンチラ

ひえぇぇええ~!!

資産が半分以下になり、かついつ回復するかもわからない、

むしろさらに下落してしまうのではという不安をかかえた状態ですべてがすべての人が投資を続けることはできるでしょうか?

自分がその状態になった時を考えて、欲しいリターンに見合ったリスクを取ることが重要になってきます。

いくら期待リターンが大きい投資商品を選んでも、大きいリスクにより投資を続けられなければ意味がないからです。

ゴールにたどり着く前にリタイアしてしまうようなものです。

リターンだけを見ずにリスクも見て、自分にとってよいバランスで投資をしましょう。

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比較する投資先

さて、今回は下記を比較対象にします。

  • 先進国株式100%
  • 8資産均等型80%+先進国株式20%
  • 8資産均等型100%

上にあるほどハイリスク・ハイリターンの投資先になります。

先進国株式の内訳は米国が70%くらいだと思っていて構いません。

8資産均等型の内訳は株式と債券がそれぞれ日本・先進国・新興国と、REIT(不動産投資信託)が日本・先進国でそれぞれ同じ割合です。

ちょうどeMAXIS Slim バランス (8資産均等型)と同じような配分です。

真ん中の8資産均等型と先進国株式の組み合わせは私が実際に積み立てを行っている配分です。

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それぞれのリスクとリターン

それぞれのリスクとリターンを長期投資前提で過去20年のデータを示します。

今回の数値の参考先はMyINDEXというサイトで計算したものです。※2023年5月に過去30年データで計算できるようになりました。

資産配分を入力すると過去データからリスクとリターンなどを計算してくれる便利で嬉しいサイトです。

当初はこんなサイトがあるのだと驚きました。ぜひ使用してみてください。

ただし以下からはあくまで過去20年の結果であり、将来同様の結果が得られるとは限らないことは注意して見てください。

下記にまとめた表を示します。そのあと個別に見ていきましょう

投資先リターンリスクシャープ・レシオ
先進国株式100%9.8%18.9%0.53
8資産均等型80%+先進国株式20%8.2%13.3%0.62
8資産均等型100%7.7%12.1%0.63
過去20年間のリスクとリターン、シャープ・レシオ(2022年時点)

先進国株式100%

先進国株式100%の期待リターンは9.8%、リスクは18.9%です。

リスクの数値は標準偏差という考え方で1標準偏差の値です。

詳しいことは省きますが、例えば先進国株式の場合ですと値動きの幅が±18.9%の間で収まる確率が約68%(1標準偏差分)だということです。

2標準偏差だと約95%になります。ほとんどの確率をカバーできるため、投資において平時に取れるリスクを考える際は2標準偏差で考えることが多いです。

つまり先進国株式は±18.9%×2=±37.8%の値動き幅で収まる確率が95%であるということになります。

ここに期待リターンが乗っかってくるので、9.8%±37.8%=-28%~+47.6%ということになりますね。

つまり年率リターンは95%の確率で-28%~+47.6%の間に収まるといったことになります。(真ん中の値が9.8%)

平時はこれだけの幅をもってしまうということですね。

ちょっとまて、リーマンショックの-50%とはなんだったの?
と思われる方はいると思います。

じつはリーマンショックは100年に1度(1%)の大暴落と言われており、2標準偏差の95%外の下落ということになります。

さりとて100年に1度ですから、20年,30年と長期投資を行っている間に再度リーマンショック級の大暴落を食らう確率は十分にあると言っていいでしょう。

ですので過去最悪と言われたリーマンショックにどの程度下落したかも、リスクをどの程度取れるかを考える際には非常に大切です。

先進国株式100%のリーマンショック時は-50.2%です。
冒頭でお話しした通り、資産が半分となってしまいます。

そもそも平時でも-28%下落する年があるのですから、わたしは結構大きな幅という感覚を持ちました。
(逆に+47.6%になる年もあるという考えもできますが)

キンチラ
キンチラ

大暴落はいつかはくる、というのが共通認識だよ

8資産均等型100%

順番は前後しますが、8資産均等型100%の場合を先に述べます。
数値の詳細は先進国株式の項でお話ししたのでパパっと行きます。

8資産均等型100%の期待リターンは7.7%、リスクは12.1%です。

単純に期待リターンとリスクを先進国株式100%と比べると、
リターンの減少は2.2%に対し、リスクは6.8%も減少しています

つまり分散投資をすると「少しリターンを減少させるとリスクはそれよりも大きく減らせる!」ということがわかると思います。

年率リターンは95%の確率で-16.5%~+31.9%の間に収まることになります。

分散投資をすると値動きがマイルドになることがわかりますね。
(その分上に突き抜ける威力も減りますが)

リーマンショック時は-37.7%です。
先進国株式100%に比べて、なんと12.5%も減少を抑えることができます

キンチラ
キンチラ

リスクが結構減ったね

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8資産均等型80%+先進国株式20%

最後に私が投資を行っている割合です。商品名やポートフォリオについては下記記事を参照ください!

8資産均等型80%+先進国株式20%のリターンは8.2%、リスクは13.3%です。

先進国株式100%と比べると、
リターンの減少は1.6%に対し、リスクは5.6%減少しています。

8資産均等型100%と比べると、
リターンは0.5%増加し、リスクは1.2%増加しています。

年率リターンは95%の確率で-18.4%~+34.8%の間に収まることになります。

リーマンショック時は-40.3%です。
先進国株式100%に比べて、9.9%減少を抑えることができます
8資産均等型100%と比べて、2.5%下落幅は増えています

このように、すこしハイリスク・ハイリターンの資産を混ぜると十分なリスク減少を図りつつも、リターンを向上させることができます。
(8資産均等型100%よりリスクは増えているとはいえ)

このように、分散すると確かにリスクを大幅に抑えつつある程度のリターンを確保できるということはわかったかと思います。

キンチラ
キンチラ

その人によっていいポイントがありそうだね

シャープ・レシオ

リスクを大幅に減らしてある程度のリターンを確保できるということは、感覚的になんだかより効率的に投資ができると思ってきます。

感覚を数値にしたものがシャープ・レシオです。

シャープ・レシオ = (リターン – 無リスク証券リターン)/リスク

この数値が高いほどリスクを取ったことによって得られた超過リターンが高いことを意味します。

仮に同じリスクを取ったときどちらがリターンが高いかを考える際に有効な指標です。

先進国株式100%:0.52
8資産均等型80%+先進国株式20%:0.62
8資産均等型100%:0.63

8資産均等型は先進国株式より0.11ポイントほど高くなります。
8資産均等型80%+先進国株式20%に対しては0.1ポイント高くなります。

これが分散投資の妙味があるとわかりやすい指標ではないでしょうか。
正しく分散すれば効率性は大きくなります。

さらに着目すべき点は8資産均等型100%8資産均等型80%+先進国株式20%の差です。

その差は一桁下がり、0.01ポイントの差で収まります

この結果は8資産均等型80%+先進国株式20%は効率性を極力落とさずにリターンを増やせていると言えるかと思います。

キンチラ
キンチラ

投資の世界って不思議だな~

いままで紹介したリスクとリターン、シャープ・レシオを調べて、その人に合った心地の良い配分を考えることが重要だと考えています。

例えば人によってはもっと先進国株式の割合を増やしてもよいと思うかもしれません。

ただし誤解をしないでほしいのは、シャープ・レシオは効率性を示す指標とはいえど、高ければ投資成績も高いとは限らないことに注意してください。

期待リターンは先進国株式が一番高い結果となっているため、仮にどんなリスクにも耐えられる人間がいたとすれば、

過去20年では先進国株式100%を保有していた方が一番投資成績は良かったことになります。

シャープ・レシオは投資商品を決める際に非常に役立つ指標ですが、それだけで判断するわけではなく、

しっかり自分に合ったリスクとリターンのバランスも併せて考慮し、投資を続けていけながらもリターンを最大化することが大事です。

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まとめ:分散投資の有効性とは?

最後に今まで述べてきたことから分散投資の有効性を述べてまとめといたします。

投資を続けやすくなる

「卵は一つのカゴに盛るな」

という格言がありますが、それは分散投資の重要性について説いているものです。

値動きの異なる資産を複数持っていれば、一つの資産が下落したとしてもほかの上昇している資産が補填してくれます。

すべての資産が長期的に右肩上がりであれば、リスクを落としてリターンを得られるということは感覚的にもわかるのではないでしょうか。

リターンを追い求めてリスクを取りすぎると、冒頭で述べた通り投資を辞めてしまうかもしれません

その状態がもしかすると「卵をすべて落とした」状態と言ってもよいかもしれませんね(キンチラ解釈)。

正しく分散投資を行うとリスクを低減できるので投資を続けやすくなり、投資を途中でやめてしまうよりも結果的に投資成績は良くなる可能性があります

投資を長くすればするほど複利効果が大きく働き資産は膨れ上がっていく性質があるからです。

私自身は「ゴールにたどり着く前に投資を辞めてしまっては意味がない。続けることこそ大事」と考えているため、8資産均等型を利用して広く分散投資を行う判断をしました。

リターンを確保しつつリスクを大幅に減らせる

今まで述べてきた数値結果から分かる通り、正しく分散投資を行うと少しのリターンを減少させるだけでリスクを大幅に減らせる可能性があります。
(少なくとも過去20年間ではそうだった)

私だけが言っている言葉かもしれませんが、

「投資はハイリスク・ハイリターンをローリスク・ハイリターンにはできないがミドルリスク・ミドルハイリターンくらいにはできる。」

と、定性的にしっくりきています(少し長いですかね笑)。

単にリスクを減らせるだけではなく、ここが分散投資の真の妙味だと考えています。

ゴールに確実にたどり着くために、分散投資も考慮してみてはいかがでしょうか?

キンチラ
キンチラ

今回は以上です!
分散投資はこの感じが心地いいんだよね。堅実って感じ!

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