得るものがあれば失うものもある。
私は30代前半にして資産5000万円以上の準富裕層に達しましたが、そのために余分なお金を使わないことを徹底してきました。
30代前半と言う早期で準富裕層である世帯は想定で日本人の上位1%の存在であり、少なくとも意識して資産形成に取り組まなければ達成し得ないレベルにあります。
ただし節約家と言えば聞こえはいいですが見ようによっては「お金を使わずため込むばかりの人」と表現されかねなく、
早期に準富裕層を達成したと聞けばこいつはどうせつまらない人間だと思われても仕方がないのかもしれません。
お金を使わないとはお金を使うことに比べてお金と引き換えに貰えるはずの物を受け取れないということですが、
実は実態としてある物以外に私が失ったものがあります。今回はそれを5つほど紹介したいと思います。
同じ節約にいそしむ方はある種の戒めとして覚悟しておくのも良いと思います。
準富裕層節約家が失ったもの
世間の価値観
30代前半で準富裕層はかなりの少数派。
二人以上世帯の貯蓄額の中央値が300~400万円であることを考えると明らかに異常なレベルです。
NISAや確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)、ふるさと納税などの資産形成における超有利な制度を使いこなしている割合もまだまだ半数に満たず、
さらにそれらをすべて活用しているとなると超超少数派なのです。
こういった制度にアンテナを張って資産形成することを常に考えているとどうしても周りとの考えが合わなくなってきてしまいます。
節約家とは合理主義です。
いついかなる時も必要十分性を求めて無駄を省こうとします。
私の経験した良い例を挙げましょう。
勤務先の上司レベルに当たる人から昼礼のスピーチでふるさと納税をようやく始めたという話をされた際、はじめに返礼品として選んだのはビールだったそうです。
いつも飲むのでふるさと納税でお得に貰えたのだと嬉しそうに語っていました。
おそらく聞いていた同僚も「お得になって良かったね」と思ったと予想します。
しかしながら私は全く逆の感想を持ちました。
嗜好品をふるさと納税の返礼品に選ぶなんて、なんてもったいない!
嗜好品のビールは結局消費するものなので無駄が無いと思いがちですが、嗜好品ゆえに落とし穴があるのです。
それはあればあるだけ消費してしまうことです。
分散して買っていれば家に無い日は消費しないだけです。
しかしながら一気に購入してしまうと常に嗜好品がストックされていつでも手が届く状態を作ってしまうため、
分散して買っていたころよりも消費スピードがアップしてしまうのです。
無ければ我慢するといったことが起きずらいのです。
節約家としてはふるさと納税は嗜好品ではなくお米や肉などの生きる上で必ず消費するものに限ります。食品以外にティッシュなどの日用品でもよいです。
本来日常消費するものを返礼品としてもらう代わりに残ったお金で嗜好品を少しづつ買えばいいのです。
しかしこういった感覚は極度の節約家以外にはなかなか理解されません。
それはふるさと納税の返礼品で嗜好品はもとより、いつもは買わない贅沢品を選ぶというのもそれはそれで生活の彩を与えてくれる可能性があるためです。
払ってしまった税金が戻ってくるという棚ぼた感、臨時収入感から贅沢品を選んでしまうことも仕方が無いです。
それが世間の普通の感覚です。でも節約家は違います。
スピーチ直後に、
ビールなんて嗜好品選んだら消費スピード上がって全然お得じゃないですよ!お米一択ですよ!
なんて言いようもんなら険悪ムードになりかねません。少なくとも相手方はいい気持にはならないでしょう。
他に「地震保険を見直す」→「そもそも地震保険なんか不要だろ、その保険代貯金しとけよ!」だったり、
「家族で同時に最新iPhoneに機種変更した」→「そんなオーバースペックなものあんたに必要ないだろ、一桁安くてミドルスペックのAndroidにしろよ!」とか、
ぐっとこらえて黙って聞いていましたね。
こうやって世間の価値観を失ってしまうと自然に会話もできなくなります。
友人が家を買おうとしている時も、都内在住で車を買ったと聞いた時も、すぐに金銭的な損得を考えてしまって純粋に会話を展開していけないのですよね。
そうやっていくと自分の感覚を話しても理解して受け止めてくれるような人間関係だけに絞っていかなければなりません。
節約する前はもっと純粋に会話を楽しめていた記憶があります。
社会人数年目で貯まったお金で複数の友人とビアガーデンでお酒を飲みながらどの車を買おうか議論に花を咲かせたものです。
今はそんなものはありません。
買い物のワクワク
節約家は合理主義でいつも必要十分性を求めて無駄を省くと言いましたが、
普段の自分の買い物をするときはかなり考えてしまいます。
この機能は既存のもので満たせてしまっているのではないか?
今後使わなくならないか?
置く場所があるか?
中古品でもっと安く買えないか?
など、一つのものを買うのに多くの思考実験を必ず行うのです。マストです。
そんなことなので妻と旅行先のショッピングモールに行った際も商品を眺めては思考実験を行い何も買わずに店を出るなんてことはよくある光景。
学生時代に大好きだった秋葉原の電気街を巡っても結局何も買わずに好きなデカ盛りを食べて帰るだけなんてことも日常茶飯事。
節約家になる前はショッピングモールのFranc Francで便利そうで結局すぐ使わなくなった雑貨を買ってみたり、
秋葉原では使いもしないガジェットをジャンク屋で何となく買ってみたり、
ネット通販ではこれまた使う予定のないノートPCをニコイチで部品を取って直してみたり、
便利そうなもの、特にデジタルガジェットに目がなく数万円の物は気軽に買っていました。
欲しいものがなくてもネットで「最新ガジェット」で検索するなどで漁る日々でした。
買い物は娯楽でした。物欲、所有欲を満たしてくれました。
でも今は資産形成のために理性で抑える、抑えることができてしまう日々です。
何か面白いものがあるかも、なんて買い物に対するワクワクなど無くなってしまいました。
買い物は楽しいことというよりもむしろお金を使ってしまう苦痛なものだとすら感じてしまいます。
高額でも必要なものを買った時ですら気づかれしてしまう始末。
購入前に色々考えた挙句に決断をするということですからね。カロリー消費半端ないです。
代わりにと言っては何ですが、今はお金を増やすことに楽しみを感じてしまっています。
昇給への野心
給料アップと節約のどちらが効率が良いか分かるでしょうか。
実は同じ額なら節約の方がお得なのです。
なぜなら給料には所得税や住民税などの税金がかり手取りが減る一方、節約した資金には何も引かれるものが無いからです。
節約は副業です。
節約を何も意識していない家庭であれば月の固定費を数万円削減することが可能です。
これは月の給料を数万円アップさせることと同じ効果を持ちます。先に述べたように同じ額なら税金が無い分節約の方がむしろ得です。
スマホ通信費はキャリアから格安SIMにし、インターネット固定回線はその格安SIMと連携した割引のあるプランにし、不要な保険を解約したりするだけですでに1万円は削減できます。
しかし挙げたこれらはまだ基本です。
- 日々の食費を自炊にする
- 食材はふるさと納税で貰ったものをフル活用
- スーパーで買うものもその時その時の安い旬の野菜に限定する
- 調味料などはPB(プライベートブランド)に置き換える
もっと踏み込んで今より数千~数万円安い物件に引っ越すなどすれば、1万円~5万円の削減は十分可能になります。
仮に月2万円の削減を定常的に行うことができれば、2万円×12か月=24万円のお金を丸々残すことができます。
税金は全くひかれませんので、年収は24万円以上のアップになります。
転職して年収をアップさせるくらいの効果があります。
しかも特筆するべきは一度切り替えたり習慣にしてしまえば労力がほとんどかからないというところです。
会社で昇給するためには一年間同僚との競争の上一定以上の成果を残し、それを上司に認めさせる面談をするという大きな労力をかけなければなりません。
それで月の給料アップはせいぜい1万円いけば良い方です。
そしてそこまでしてもなお、会社全体の利益が確保できなければ昇給自体なし、むしろ業績悪化により減給さえ起こる可能性があります。
有難いことに昇給を成したとしても上がった分に税金がかかりますし、一定水準の収入を超えれば税率がアップしてむしろ手取りが昇給前より減るなんて現象も起こり得ます。
しかし、それとは裏腹に節約はやればやるだけ確実に、そして即日的に効果が得られるものです。
節約により毎月の手取りから貯蓄に回る資金が増やせますし、それをさらに投資に回すことで資産拡大スピードを飛躍的に向上させることができます。
この旨みを知ってしまうと仕事よりも節約を極めたくなってしまいます。
そしてある一定以上の貯蓄を果たした時、もはやこれ以上昇給をしなくとも特に問題ない状態となり、
昇給への野心が消え失せてしまいます。
私の資産公開記事を是非見てみて下さい。
FIREを目指せるほどの貯蓄割合を継続していることで、投資資金はかなり多くなっています。
このことは良い傾向とも悪い傾向とも取れます。
良い傾向とは昇給を気にしなくともよいということですから、働くことに対して気を楽に保てることができます。
悪い傾向とはそのまま、大きな昇給が見込めなくなるということです。
しかしそのことを気にして節約をしないという手はあり得ません。
ベストは節約を極めつつさらに収入をアップさせるために働くことでしょう。
ただ昇給しても手取りがそこまで増えないという今の日本は、一定以上の可処分所得を得られた後は中々さらに上を目指すことに対してモチベーションが上がりずらい仕組みになっています。
もし節約を知らずに日々の生活費や将来の貯蓄のためのお金が足りないという状況なら、よりいっそう働かないといけないと苦労せざるを得ません。
節約の効用は手に残るお金が増えるということだけではなく、生活費を圧縮して生きていける環境を構築できることもあり、
それすなわちより少ない収入でも苦がなく生活できるようになれるということです。
そして余剰資金は投資に回すことで複利で資産は増えていく。
この旨みを知ってしまうと仕事よりも節約を極めたくなってしまいます。(二回目)
ケチと言われる羞恥心
ケチとは蔑称です。
何事にもお金を出し渋る面白くない人間という意味で使う表現です。
私もことあるごとにケチと言われることがあります。
節約をして可処分所得を増やすことに成功し、その資金を投資によりさらに増やしていくという旨みを知った後は、
ケチと言われることに侮蔑感を感じなくなってきました。
好きでやっているのだからほっといてくれと思います。
というか何でもかんでもお金を出し渋っているわけではありません。
節約家とは合理主義であり必要十分性を求める人種だと前述したとおり、費用対効果は考慮しますが必要なものにはお金を使います。
必要なものには家族と思い出を残すための旅行や嗜好品などの娯楽費も含まれます。
いかに少ない資金で最大の効果を得られるかを毎回考えているだけなのです。
生活満足度を落とすことなく使うお金を少なくできるスイートスポットを正しく見極めてそれを体現しているに過ぎません。
しかしながらそれを自分以外の人に見せる、
例えば友人と外食をするときはまずなるべく安くて済むようにクーポンやお得なフェア時期を敢えて日取りに指定したり、
自分だけ何もトッピングしないラーメンにしたり、交通費削減のために一駅歩いてきたなど言ったりすると、
こいつはケチだなぁと思われてしまう訳です。
でも人の目を気にしないというか、済にその人間性を受け止めてくれる交友関係に絞っていることもあって仮にケチだなと思われても羞恥心は抱かなくなっています。
私の場合はFIREという人生に大きく関わる目標をしっかり定めていることでお金を必要以上に使わないことへの信念や大義名分があることも大きいです。
「ケチだなぁ(笑)」と声を出されて言われた時も、
「まぁそうかもね(笑)」と軽くあしらったり、「目標があるからケチと言われようが気にしないよ」と反撃することもできます。
ただ敢えてケチと思われる行動を言わなくてもいいところはあり、
新たな交友関係や節約家になる前の人との関係が続かなくなるというのもあるので、羞恥心が無くなるというのも少々考え物だとは思います。
お金を払うことでの経験
お金が有り余るくらい潤沢にあればそれ相応の経験ができます。
30代前半で5000万円を形成した私も世間からすれば潤沢な資金があると思われているのでしょう。
5%の250万円でも海外旅行に使ったり、50%の2500万円で地方の一軒家を建てて移住してもいいはずです。
それをしても将来の備えとしては十分な資金を残したまま生活ができるでしょう。
こういったお金を払うことで出来る経験を、節約を極め、投資でさらにお金を増やせることを経験してしまうと逃していることになります。
このできたはずの経験で人生観が変わる可能性もあります。
しかしながらお金を貯めるということも経験の内。FIREを本気で目指すというのも貴重な経験の内です。
そもそも敢えて興味のない海外旅行や負債になると思っている一軒家を購入するというのは必要十分を求める私という節約家としてはナンセンスです。
むしろFIREを目指すことで将来の不安の解消や無理のない生活費の圧縮ができていることで生活満足度が向上する部分すらあります。
FIREを達成することで労働時間を削減して自由時間が増やし飛躍的に生活満足度を上げる画策さえしています。
もしかするとその先に海外旅行をする余裕も生まれるかもしれません。将来の不安を解消した上、ですよ。
しかしながら私のような極度の節約している期間はお金を払うことでの経験は出来ませんから、
年齢が低い内に経験できることが少なくなってしまうデメリットは確かにあります。
体力や気力的にどうしても出来る出来ないが出てきてしまいますからね。
そこは節約家としては本当にやりたいことと今しかできないと思うことをしっかり見極めて、過去を振り返り悔いが無い生き方にしていく必要があります。
節約と楽しい人生は両立出来るはずです。
そこら辺は生きるセンスになってきますね。
無理な節約をし過ぎで途中で息切れしてしまうと後悔しかねないよ!
自分の人生に何が必要か、広い人間関係か、多彩な経験か、お金か、今と将来のバランスを見極めることが幸福への鍵なんだ!