FIRE(Financial Independence, Retire Early)には、常に懐疑的な目が向けられます。
「そんなのは絵に描いた餅」「日本じゃ無理」「一部の成功者だけの話だ」といった声はSNSでもよく見かけますよね。
確かに、FIREにまつわる理論には現実と乖離した部分もあります。私もそれにはある程度同意しています。
しかし、そうだとしても 「FIREを目指す意味がない」 とは思いません。
今回は、「FIREは絵に描いた餅だ」と言われる理由と、それでもなお目指す価値がある3つの理由をお話しします。

絵に描いた餅でも、努力することで現実に近づけるかもしれない!
FIREが「絵に描いた餅」と言われる理由
米国基準の理論が日本には当てはまらない
FIREの前提理論のひとつに「トリニティ・スタディ」があります。これは米国の株式と債券に50%ずつ投資し、年4%ずつ取り崩しても30年後に資産が残る確率は97%という有名な研究です。
いわゆる「4%ルール」はここから来ています。
しかし、これはあくまで米国での話。日本に住み、日本円で暮らす我々にはそのまま当てはめることはできません。
⚠️ 為替リスクがある
⚠️ 日本のインフレ率は異なる
⚠️ 税制もまったく別物
といった要因があり、FIRE理論の根幹が揺らいでしまいます。

土台がアメリカ仕様だと、日本ではうまくいかない部分が出てくるよね~。
減り続ける資産に心が耐えられない

FIRE生活では、形成した資産を取り崩しながら暮らすことになります。資産が増える年もあれば、当然減る年もあります。
しかし減る年は、「含み損」+「取り崩し」 で資産がダブルで減るので、メンタルへのダメージは大きいです。
数年続けば「このまま資産が尽きるのでは…」という不安に襲われ、再就職を考え始める人も出てくるでしょう。
ただし、再就職はFIREの定義から外れてしまいますし、ブランクの長さも就職のハードルになります。

頭では「また増える」とわかってても、気持ちはなかなか割り切れないよね~
それでもFIREを目指すべき3つの理由
FIREを目指すだけで家計が優良になる

FIREのためには、収入の大部分を投資に回す必要があります。
それを実現するには、節約意識が自然と身につきます。固定費だけでなく、コンビニの飲み物や外食、住環境まで見直すようになります。
「こんな出費してたらFIREなんて無理!」という視点が生まれ、支出にブレーキがかかるのです。
結果、収支は常に黒字化し、投資に5〜8割を回す優良家計になっていきます。

目標が明確だと、行動も変わる!家計改善の最高のモチベになるよ!
巨額の資産は、人生の選択肢を大きく広げる

本項が最大の理由となります。
FIREを本気で目指すには、少なくとも数千万円規模の金融資産を築く必要があります。
これは、たとえFIREを実行しなかったとしても、十分すぎるほど価値のある成果です。
というのも、資産そのものが「人生の自由度」を大きく広げるからです。
たとえば…
✅ 今の仕事が合わないと感じても、すぐに辞めて新しい道を探すことができる
✅ 働く時間を大きく減らして、家族との時間を優先するライフスタイルに切り替えられる
✅ 一度きりのチャンスに思い切って挑戦することができる(起業・転職・留学など)
✅ 大きな病気や不測の事態に直面しても、生活の安心が確保されている
つまり、FIREのために築いた資産は、「生活費」以上の意味を持っています。
お金=人生の決定権そのものなんです。

自由って「時間」だけじゃなくて、「選べる」ことも含まれるんだよね!
さらに、資産があることで将来の漠然とした不安からも解放されるという大きな精神的メリットもあります。
✅ もし失業しても、すぐには困らない
✅ 子どもが突然高額な学費が必要な進路を選んでも対応できる
✅ 年金が減っても、それに頼り切らなくてもいい
✅ 高額な医療費がかかっても、躊躇なく最善の選択ができる
資産というのは、単なる「お金」ではなく、人生の安全保障にもなるわけです。
もちろん、FIREを達成したあとにその資産を取り崩して使ってもいいし、
FIREせずに資産を守りながら働き続けてもいい。
どちらを選ぶにせよ、「選べる」という事実そのものが人生にとっては非常に大きなアドバンテージです。

資産があるだけで「人生イージーモード」に切り替わる感あるよね!
FIREという目標を持つことで、それに必要なレベルの資産形成が自然とできるようになる。
そしてその資産は、たとえFIREを実行しなくてもあなたの人生にずっと価値を与え続けるものになります。
サイドFIRE・コーストFIREなど柔軟なスタイルもある
FIREは完全リタイア(ファットFIRE)だけではありません。
- サイドFIRE:資産からの収入+軽い労働
- コーストFIRE:必要資産を若いうちに形成し、あとは軽い労働で暮らす
私自身は、ファットFIREが可能な資産を築いたうえで、週休4日の軽い仕事で生活費と娯楽費を稼ぐスタイルを目指しています。
いざとなれば資産だけでも暮らせる安心感を持ちながら、無理のない仕事を続ける。これが理想です。

FIREにはいろんな形がある!自分に合った形を選ぼう!
将来を良くするために“今”投資する


本論とはすこしずれますが、最後に私の考えを伝えたいためにこの項を設けました。
FIREについて語るとき、よく聞くのが「将来のために今を犠牲にしてどうするの?」という批判です。
たしかに、今を我慢してまで将来のためにお金を貯めるのは本末転倒だという意見も、一理あると思います。
しかし、FIREを目指す人たちの多くは「今を犠牲にしている」とは感じていないはずです。
というのも、FIREを目指している人たちは単に我慢しているのではなく、**“将来を良くするために、今を投資に使っている”**という意識で動いているからです。
お金の使い方は「消費」「浪費」「投資」に分けられます。
FIREを目指す人は、「今このお金を使うことで、将来もっと豊かになれるか?」という基準で、支出を投資的に考えています。
もちろん、今しかできない経験にお金を使うことも価値があります。
でも同様に、**「今投資しなければ得られない未来」**も確かに存在するんですよね。
投資を通じて複利の力を活かすには、早く始めるほど有利です。
20代、30代からFIREに向けた資産形成を始めることは、ある意味で“時間”という資産を最も有効に使っているとも言えるでしょう。


時間×お金=最強の複利コンビ!未来にレバレッジかけるんだ!
また、FIREを目指すことで生まれる副次的な効果も大きいです。
限られたお金で満足できる暮らし方を模索する中で、「お金を使わないと幸せになれない」という考えから解放されていきます。
✅ 無駄遣いをしなくなる
✅ 本当に大切なことにお金を使えるようになる
✅ 幸福度のベースが“モノ”ではなく“価値観”に移る
こうした変化は、単にお金を増やすこと以上に大きなメリットです。
他人にどう見られるかではなく、**「自分は何を幸せと感じるか」**に向き合いながら、自分自身の人生を最適化していく。
それこそが、FIREを目指すという行動の本質なのではないでしょうか。


FIREは節約術じゃなくて、「生き方」の話なんだよな!



