FIRE(Financial Independence Retire Early)の批判者からはよく「絵に描いた餅だ」と批判されることが多いですね。
私も基本その通りだなと思うわけですが、同時にだからといって目指さない理由にはならないとも考えています。
絵に描いた餅であるといわれる理由と、私の考えるFIREを目指さない理由にはならない訳を紹介します。
絵に描いた餅なのに目指す?一見矛盾するようなことを考えます
FIREが絵に描いた餅である理由
FIRE理論の前提が当てはまらない
FIRE理論を支える考え方は米国のトリニティスタディと言われる、資産の取り崩す金額と期間について研究したものです。
その研究によると、米国の債券と株式を50%づつ保有して年間4%づつ取り崩し生活しても、30年後の資産は97%の確率で残っている、という結果が出されました。
FIREを目指す人たちが謳う4%ルールとはここからきています。
しかしそれは米国に住む人たちが、米国の優良な指数に連動する商品を保有することを前提としています。
トリニティスタディでは米国のインフレ率も考慮されていますが、国が違えばそれも変わる。
また同じ指数でも日本円建てで購入することと、ドル建てで購入することでは為替の影響も出ますし、税金のかかり方も異なります。
つまり日本でFIREを目指すには、そもそもの前提が成り立たないということです。
インフレ率については少なくとも現状では米国よりも日本の方が低いため楽観的な考えを持つ方も多いですが、不確定要素が増えるという意味であまり好ましくありません。
「インフレ率が〇〇%低いから目標利回りは〇〇%にしよう」
という試算にはとても怖くて考慮に入れることはできません。
前提が一つでも異なれば信頼性が担保できないからね。
気持ちが耐えられない
FIRE後の暮らしは基本的に形成した資産の取り崩しによって行います。
投資により増えた分のみを取り崩せば理論的には資産は減らないのですが、増える年もあれば減る年もあります。減った年は減った分+生活に必要な取り崩しで残高がダブルパンチで減ります。
そして減る年は数年続く可能性があります。
いつ相場が好転するかわからない中、残高がどんどん減っていくことに気持ちが耐えられないのでは、というのが批判の内容ですね。
減った年以上に増える年があるから投資は成り立つのだけど、理論と気持ちは別だからね
その対策の方法はいくつか考えられるのですが、なかなか残高が減っていくことを黙って見ていられるほど、人間は合理的に行動ができないものです。
生活のために仕事を再開したのではもうFIREとは言えません。
FIRE生活後はブランクがありますから就職活動時には大きなデメリットとなります。
同じ仕事を続けていた方が給料も高かったはずです。
FIREを目指さない理由にはならない訳
目指しただけで優良家計確定
FIREはアーリーリタイアも目指すわけですから、できるだけ多くの資金を投資に回して早期に資産を形成しなければなりません。
そのためには無駄な出費は一切省くという意識が確実と言っていいほど生まれます。
FIREを目指さない単なる節約レベルでは、固定費などの見直しなどで終わる方も多いのではないでしょうか?
FIREを目指す人というのは固定費にとどまらず、普段の買い物などに対する意識も変わります。
なんとなくコンビニでペットボトルのお茶を買うこともしませんし、腹を満たすためだけの外食も躊躇します。住まいを変えたりもできちゃいます。
「こんなとこにお金を使っていてはFIREなんてできるわけがない」
という、一種のお金を使うことに対する足かせのようなものができるために出費は大きく減ります。
家計の収支は常にプラスどころか、投資に5~8割回せるほどの超優良家計の出来上がりです。
そして一度形成された貯蓄習慣というものは今後の人生ですごく価値のあるものです。
将来出費が増えて赤字家計になったとしても、対策を講じて再度黒字家計へ修正していけることでしょう。
FIREという明確な目標があることで真剣に家計に向き合うことができる
資産という結果は確実に残る
本項が最大の理由となります。
FIREを達成するためには数千万円単位の金融資産を形成しなければなりません。
それは人生を変えることができるほどの巨額な金額です。
資産を形成した後にFIREをしなかったとしても、その資産でいろいろな選択をすることが可能です。
自ら事業を立ち上げてもいいし、どこかに出資してもよい、長期間海外旅行へ行き見聞を広めてもいいし、一軒家を買ってしまうのもいい。お金は選択肢を広げてくれます。
また大きな資産はその存在だけで生活や精神を支えてくれます。
余計な保険に入る必要はないし、失業しても生きていける(FIRE状態になるだけ)、子供が急に医学部に行きたいと言いだしても出してあげられる・・・
FIREを実際にするかどうかは置いておいて、たとえ絵に描いた餅だったとしてもFIREをしたいと思う人がFIREを目指さない理由はもうどこにもないのではないでしょうか。
俺は批判に目もくれず自信をもってFIREへ突き進むぞ!!
サイドFIREなど他のスタイルなら現実的
最後におまけ的な感じですが、
FIREはなにも完全に仕事を辞めて資産収入のみで暮らすファットFIREというスタイルだけではありません。
収入の半分は投資から、半分は今より軽い仕事から、というサイドFIREやバリスタFIREというスタイルもあります。
半分は安定した定期収入となるわけで、気持ち的にも安定し且つ楽に生活を送ることができます。
ファットFIREは絵に描いた餅であるかもしれませんが、サイドFIREやバリスタFIREは現実的なFIREスタイルであると言われています。
私の目指しているところは、ファットFIREが可能なくらいの資産を築いてしまい、かつ軽めの仕事(週休4日くらい)をするというスタイルです。貯蓄はしなくてもよいので、生活費と娯楽費を労働で稼ぎます。
ときに資産収入や娯楽費分を生活費へ補填すれば、安定的にFIRE生活を続けることができますしね。
最悪は資産収入が生活を支えてくれるという大きな安心感を持ちながらストレスフリーに仕事をすることができます。
この考え方はコーストFIREと呼ばれているものに属すると思うのですが、初めにファットFIRE分の資産を築くという点が特徴的です。(その分FIRE開始が遅れてしまいますが)
コーストFIREについては別な記事で紹介予定しているよ
将来を良くするために”今”投資に使う
本論とはすこしずれますが、最後に私の考えを伝えたいためにこの項を設けました。
よく「将来のために今を犠牲にするのは本末転倒」「今にもお金を使うべき」と言われますが、FIREを目指している人というのは「将来を良くするために”今”投資にお金を使う」ということを意識的か無意識的にかはありますが考えているはずです。
今お金を消費しなければ得られない経験もありますが、今投資しなければ将来得られる複利効果も得られません。どちらも機会損失があり、どちらを選択するかというだけの話です。
経験で言ってしまえばFIREを目指すということも経験のうちだと思います。
結局今何にお金を使うか、ということに違いはありません。
投資する人は投資にお金を使ったということです。
そしてFIREを目指す人は収支を最適化し、お金をさほど使わなくとも幸せが感じられる方法や趣味を模索した上で生活しています。お金を使わないと幸せではないという固定概念は一度取り去らっています。
「今を犠牲にするな」という外野からの意見は気にせず、自分の幸せのみに向き合っているのです。
人目を気にしていたらFIREなど出来ない!自分を信じて突き進むぞ~!!