最近投資界隈で話題の「レバナス」。
米国の主にハイテク企業やIT関連の企業の株式を指標とするNASDAQにレバレッジをかけた投資信託のことですが、これを長期投資に用いて運用する人たちの存在が目立ってきていますね。
レバレッジと言えば私は「投資」よりも「投機」のイメージが強い。
企業の成長を信じて株式をある程度の期間持ち続ける投資ではなく、相場の上げ下げの中で「安く買って高く売る」を短期で頻繁に繰り返す投機。俗にいうFXなどのイメージ。
レバレッジをかけると自分の持っている資金よりも何倍もの大きな資金で取引ができ、利益にブーストをかけることができるといった仕組み。またその逆もしかり。
それを投資に、何なら長期投資に使って爆益を得ようというムーブメントについて、賛否の論争がずっと食い違っていて平行線だなと思ったため、以降でそう感じた理由を書いていこうと思います。
レバナス肯定派の言い分
NASDAQは今後も成長を続ける
レバレッジのリスクとしてはかけた倍数分だけ値動きもその倍数分になるというところ。
もちろん値上がりをすればレバレッジをかけない普通のNASDAQ指数に投資するよりも何倍もの利益を得ることが可能だが、怖いのは値下がりも同じ倍数で起こってしまうところです。
しかしながら今後も経済をけん引していく米国、しかも成長が見込まれるハイテクやIT関連の指数であるNASDAQは長期的に見ても右肩上がりだろうという見解から、
「短期的には大きく値下がるかもしれないけど、長期的には右肩上がりが濃厚なのだからレバレッジをかけたら爆益だ!!」
というのがレバナス肯定派の意見の主軸です。
レバレッジなしで米国株価指数であるS&P500やNASDAQに投資している人たちに対しても、
「どうせ米国経済の成長を信じているなら、レバレッジをかければよいのに」
とすら思っているかもしれません。
キンチラも一理あるな、と思っているよ
何より資産形成期間を最短化できる
現在はレバナスムーブメントと同時にFIREムーブメントでもあります。
FIREはFinancial Independence Retire Earlyの略で、とっとと資産形成をして経済的自由を達成し、定年前に会社員を辞めて自由になろうという考え方です。
FIREには少なくとも数千万の資金が必要ですから、早く会社員を辞めたい方にとっては少しでも早く資産形成をしたいところ。それにうってつけだと言う意見です。
レバレッジをかけていますからね、値上がれば達成はかけた倍数分早くなります。
繰り上げ償還リスクは限りなく低い
投資信託には繰り上げ償還リスクが伴います。
繰り上げ償還とは、
投資信託を運用する会社が、その商品のある一定基準を下回った場合にその投資信託商品の運用を辞め、途中で強制解約(売却)とすることです。
ある一定基準とは私が把握している限り「純資産総額が〇〇円以下」というものになります。
純資産総額とは、その投資信託が購入者から集めた運用している資金の総額のことだよ!
強制売却は基準価格がどうであれ解約されます。ほとんどがかなり下がっている状態かと思われます。
当然ながらレバナスにも繰り上げ償還リスクは存在し、むしろ普通のレバレッジなしの商品よりも値下がり幅が数倍大きいためにそのリスクも大きいと批判されることもあります。
ただしレバナスはそのリスクは限りなく低いというのが肯定派からの反論です。
レバナスのなかでも有名なiFreeレバレッジ NASDAQ100の交付目論見書記載の繰り上げ償還リスク欄を見てみましょう。
- 受益権の口数が30億口を下ることとなった場合
- NASDAQ100指数(米ドルベース)が改廃された場合
- 信託契約を解約することが受益者のため有利であると認めるとき
- やむを得ない事情が発生したとき
このうち下3つは指数がNASDAQですし、通常運用されていれば問題のない項目と思います。
償還リスクと言えば一番目になるのですが、この記事の執筆時点の純資産額は1,378.93億円です。
一口一円ですから、償還される基準と比べると46倍近くの余裕があることになりますね。
そして今後成長が見込まれる株式指数のNASDAQであることと、依然人気の商品ですからこれからもしばらくは右肩上がりでしょう。
これが償還リスクが限りなく低いと肯定派が主張する理由ですね。
レバナス否定派の言い分
ではレバナス否定派の言い分です。キンチラはこちら側だったりします。
ただしツイッターなどで繰り上げ償還リスクを指摘する声も多いですが、それは私としても限りなく低いと同じく思っています。長期で持てば爆益なのも納得です。
それよりもものすごく根本的かつ大事な部分が肯定派の考えに抜けているものと思います。
それは下記一点です。
ほとんどの人が投資を続けられない
長期投資で何より一番大事なことは、続けることです。
では続けられない要素としてなにがあるかというと、値動きの大きさに耐えられないことです。
レバレッジなしの株式の値動きにすら耐えられない人もいる中、レバレッジありにするとそれが何倍もの大きさでのしかかります。
米国経済がここ数十年間右肩上がりを続けてきたといっても、それは短期的な大きな下落を何度も乗り越えてきたからです。その下落に耐えきれず、高値更新する前に投資信託を売却した人も大多数いることでしょう。
私の感覚ではレバナスが流行りだしてから、米国株式は目立った暴落を経験していません。
執筆時点では弱気相場に入ったといわれており、レバナスを売却したという声もちらほら聞こえておりますが、暴落はこんなものの比ではないと考えています。
コロナショックは滅茶苦茶早期に回復した方です。コロナショックを乗り越えたからリスク許容度はある、大丈夫だと思うのは早計かもしれません。
暴落後は数年、下手すると十数年、指数は高値更新しない場合もあります。
その状態で本当に信じていられるか?
その間にライフスタイルが変化して大きなお金が必要にならないか?
運用資金が一桁二桁大きくなり下落額面が今より大きくなっても安心して寝られるか?
長期投資で一番大事な「続けること」を見落としているぞというのが否定派の唯一にして最大の言い分であると思います。
ほとんどの人が自分のリスク許容度を過大評価してしまっているのでは?という警鐘のようなものです。
もちろん続けられるならそれが一番効率的だよ。続けられればね。
議論はいつまでも平行線
レバナス否定派はしきりに、
「本当に下落に耐えられますか?」
と訴えているのに、肯定派は、
「NASDAQは右肩上がりだから長期で持てば問題なし!!」
「何があってもガチホ(ガチでホールド)します!!」
のリスク許容度完全無視な意見が目立ちます。
否定派は長期的に右肩上がりなことも、ガチホできれば爆益なこともなんら否定はしていません。
絶対的勝利条件である続けることができないですよ!という意見なのです。
肯定派はよくけんか腰に「20年後に答え合わせしようね♪」と言われるのですが、
否定派からするとそんなものは結果論で、続けられた人に対してはただ「すごいね、よかったですね」と思うだけです。
「持ち続ければ爆益!!」
と
「持ち続けられない!!」
という完全に精神的な出来る出来ないの掛け合いであるため、交わることのないずっと平行線の論争なのです。
結論:続けられれば良い